乾燥肌とは?原因と症状から治し方までを解説
肌がカサつく、粉をふく、かゆみが止まらないといった乾燥肌の悩みは、季節や年齢を問わず多くの人に見られます。見た目や手触りの不快感だけでなく、放置すると湿疹や炎症などの肌トラブルを招くこともあるため、早めの対策が大切です。
本記事では、乾燥肌の定義や代表的な症状、外側と内側の両面から見た原因、改善方法まで詳しく解説します。
01乾燥肌とは?
乾燥肌とは、肌の角層にある水分や皮脂が不足し、うるおいを保つ力が低下した状態を指し、医学的には「ドライスキン」とも呼ばれます。乾燥肌の主な症状について詳しく見ていきましょう。
乾燥肌の主な症状
乾燥肌の主な症状には、肌表面のカサつきや粉ふき、つっぱり感、かゆみ、ひび割れ、さらには湿疹などがあります。
単なる見た目や感触の変化にとどまらず、皮膚のバリア機能が低下しているサインでもあります。バリア機能が弱まると外部刺激やアレルゲンが侵入しやすくなり、炎症やかぶれなど二次的な肌トラブルを引き起こしやすくなります。
また、乾燥によるかゆみから無意識にかき壊してしまうことで症状が悪化し、慢性的な皮膚疾患へ発展することもあります。特に冬場や空気の乾燥した環境、冷暖房の効いた室内では日常生活に支障をきたすほどに症状が強く現れることも少なくありません。
02なぜ肌は乾燥するのか?原因を解説
肌が乾燥する大きな要因の1つが、角層に備わった「バリア機能」の低下です。肌が乾燥する原因について詳しく見ていきましょう。
肌のバリア機能の重要性
角層は表皮の最も外側に位置し、外部刺激やアレルゲンの侵入を防ぐと同時に、肌内部の水分が蒸発するのを抑える役割を担っています。
このバリア機能は、角質細胞と、その細胞の間を埋める細胞間脂質によって成り立っています。角質細胞の内部にはアミノ酸などの天然保湿因子(NMF)が含まれ、細胞間脂質にはコレステロールやセラミド、脂肪酸などが存在します。これらの成分が十分に保たれている肌は十分にうるおっており、外的刺激にも強い状態です。
しかし、加齢や生活習慣の乱れ、紫外線や空気の乾燥などの影響で、NMFや細胞間脂質が減少すると、角質細胞同士の結びつきが弱まり、バリア機能が低下します。
その結果、水分が逃げやすくなり、肌はカサつきやすくなります。乾燥を防ぐためには、このバリア機能をまもり、必要な保湿成分を補うケアが欠かせません。
乾燥肌を引き起こす外的要因
日常生活の中には、肌のバリア機能を損ない乾燥を悪化させる要因が数多く潜んでいます。代表的なのが空気の乾燥です。冷房や暖房を長時間使用すると、空気中の水分が奪われ、室内の湿度が低下します。
乾燥した空気は角層の水分蒸発を促し、バリア機能の低下を招きます。また、紫外線も大きな要因です。角層は紫外線を直接受けるため、バリア機能が損なわれやすく、乾燥や肌あれに大きな影響を与えます。さらに、ナイロンタオルでの強い摩擦や洗浄力の強すぎる洗顔料の使用、高温(42度以上)の入浴は必要な皮脂や細胞間脂質を奪い、肌を乾燥しやすくします。
さらに、衣類による摩擦や化学繊維による刺激も、肌の乾燥やかゆみを助長する要因です。
乾燥肌の内的要因
体の内側の状態も乾燥肌に深く関わっています。加齢によって皮脂やセラミド、天然保湿因子(NMF)の量は徐々に減少し、バリア機能が低下します。さらに、ストレスや不規則な生活習慣、睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、保湿成分の生成を妨げます。
栄養面では、ビタミンB群が不足するとターンオーバーの正常化が難しくなり、乾燥が進みます。また、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの持病、ホルモンバランスの変化なども乾燥を引き起こす要因です。
03乾燥肌で「かゆみ」が生じる理由とは?
乾燥肌では、角層の水分や皮脂が不足し、肌をまもるバリア機能が低下します。アレルゲンや刺激物質が肌内部に侵入しやすくなり、神経を刺激してかゆみが生じます。かゆみを我慢できずにかきむしると、皮膚の表面が傷つき、炎症や湿疹が起こります。その結果、さらにかゆみが強くなり、再びかいてしまう悪循環に陥ります。
かき壊しを繰り返すと、炎症が慢性化して色素沈着や湿疹などの皮膚トラブルへ進行することも少なくありません。乾燥によるかゆみを放置せず、早めに保湿を徹底し、必要に応じて薬を用いることで、肌の健康を維持することが大切です。
04乾燥肌を改善するための3つの方法
乾燥肌を改善するためには、外側と内側の両面からアプローチすることが大切です。肌のバリア機能をまもる正しいスキンケア、栄養や睡眠など生活習慣の見直し、乾燥や刺激から肌をまもる環境づくりを実践することで、肌トラブルのリスクを抑えることができます。ここでは、乾燥肌を改善するための3つの方法について解説します。
正しいスキンケアでバリア機能をまもる
乾燥肌の改善には、肌のバリア機能を損なわないケアが必要です。洗顔やクレンジングの際は、ゴシゴシと強くこすらず、ぬるま湯でやさしく洗い流しましょう。
入浴時も同様に、ナイロンタオルや強い洗浄力のボディソープは避けてください。また、42℃以上の高温のお湯は皮脂を奪いやすく、乾燥を悪化させるため、38〜39℃程度に設定します。
入浴や洗顔後は時間を空けずに保湿剤を塗り、肌の水分が逃げる前にうるおいを閉じ込めましょう。乾燥がひどい場合は、肌の保水力を高める成分である「ヘパリン類似物質」配合の乾燥肌治療薬を取り入れることで、バリア機能の回復をサポートできます。
内側から肌を育む生活習慣の改善
外からのケアだけでなく、体の内側から肌環境を整えることも重要です。栄養バランスの取れた食事は、肌のターンオーバーを正常化し、うるおいを保つ力を高めます。
特に、タンパク質、ビタミンA・B群・C・E、亜鉛などは乾燥肌改善に役立つ栄養素です。また、常温の水をこまめに飲むことで血流や代謝が促進され、肌に必要な栄養や酸素が届きやすくなります。
さらに、十分な睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、肌の修復と再生を助けます。就寝前のスマホ使用を控え、入浴のタイミングや室温・照明を整えるなどして、質の高い睡眠を取りましょう。
肌にやさしい環境づくり
外的環境の影響を減らすことも乾燥肌の改善において重要です。冬場や湿度が低い時期は加湿器を活用し、室内の湿度を保つようにしましょう。
夏場でもエアコンの風が直接肌に当たらないよう工夫すると、乾燥を防げます。また、紫外線は季節を問わず肌のバリア機能を低下させるため、年間を通して日焼け止めやUVカット効果のある衣類で対策しましょう。さらに、衣類の素材は肌への摩擦や刺激が少ない綿やシルクなどを選ぶことも大切です。
05カサカサ乾燥肌の改善へ今日から実践
乾燥肌は角層の水分や皮脂が不足し、バリア機能が低下することで起こります。空気の乾燥や紫外線、誤ったスキンケアなどの外的要因に加え、加齢や栄養不足、生活習慣の乱れといった内的要因も影響します。かゆみを伴う場合は、かき壊しによる悪循環を防ぐためにも、早めの保湿ケアと必要に応じた治療が重要です。
改善には、正しいスキンケアでバリア機能をまもること、栄養や睡眠を整えて内側から肌を支えること、乾燥や刺激からまもる環境づくりが欠かせません。今日から少しずつ生活やケアを見直し、健やかな肌を目指しましょう。
